壁の花団
  | トップページ | 活動歴  | 水沼健プロフィール&作品集  | English
 







― 前回公演『ニューヘアスタイルイズグッド』に引き続き、今回も瀬戸内海の小島が舞台ですね。

そうですね。それまでは、「どこともとれない」場所を想定して書くことが多かったのですが、自分の経験の中にあるものを材料として演劇にしてみたいという思いが強くなって、前回と同じ私が中学時代に暮らしていた島をイメージして書いています。

ただ具体的な島の情報が出てくるわけではないので、あくまで「どこともとれない」場所ではなるのかなとは思います。イメージを外から持ってくるのではなく自分の中から探して見て書いているという感じです。外とかうちとかははっきり区別がつきにくい部分ではありますけど、傾向としてそちらが強いという感じですね。

前回は「外から島へやってきた人」の目線で書いていたのですが、今回は「島で生まれ育った人」、土着の人の視点で書いていますので、風景の捉え方としては真逆の視点とも言えるかもしれません。現在の立ち位置をとらえる作品というものから、ここまでの経験とその先の来し方をとらえるような作品をつくりたいという動きの変わりかたがあったんだろうと思います。

― 物語を教えていただけますか?

同じ島で育った同級生のなかに、地域の産業を担っている男の息子がいます。その子は、期待を背負って育ってきたんですが、子どもの頃、男性器を犬に食いちぎられてしまいます。男性器がなくなるということで父親との関係に変化が生じ、ある年齢にさしかかって……異性に興味を持ち出す頃になって、同級生たちとも微妙なズレみたいな起こる。結局、中学を卒業して彼は島から出ていってしまうんですが、皆が大人になった頃、霊的な存在となって島に帰ってくる……というお話です。

− 「犬に男性器を食いちぎられた少年」という設定はどのように決まったのですか?

今回、父と息子との関係というものを扱ってみたいと思っていました。「少年が犬に男性器を食いちぎられる」という設定はマリオ・バルガス=リョサの『子犬たち』という作品から拝借しています。この設定が今回描こうと思った物語にはまりそうだと感じたので。……リョサの作品では、男性器を食いちぎられた少年は不良になっています(笑)。

僕は大学で実家を離れてからはめったに実家に帰らなかったし、それ以前も父親とうまく行っていたという記憶がないんです。ようするにあまり好きではなかった。最近になって、ようやく定期的に帰るようになって、父親との関係を取り戻してきているような気がして。これまでのうまく行かなかったことの反省も含めて、書いてみたいなと思ったのがきっかけです。

 

― とすると、タイトルの『ザサン』は「息子」ということですか?

そうですね。その意味もありますが、性器の隠語である息子の音だとか、夏の話なので「太陽」とか、3人芝居なので「3」とか、複数の意味でつけました。

 

― 男性ばかりの3人芝居ですが、配役は?

性器を食いちぎられた少年の役を坂口修一さんに演じていただいています。今回は事前にオーディションを実施しまして、彼はオーディションに応募してくれました。一緒に舞台を作るのは初めてですが、彼の舞台は何度も観ていて、やっぱりとても印象深かった。もともとは4.5人の芝居にしようと考えていたのですが、坂口さんがいたので3人芝居にしたようなものです(笑)。

金替康博さんには性器を食いちぎられた少年の同級生の役。彼は島から出ていった少年のことをずっと島で待っている……という役です。金替さんには沙大さ回公演『悪霊』からずっと出てもらっています。戯曲を書くときは配役が決まっていなくても金替さんをイメージして書くことが多いので、いなくてはならない存在です。

岡嶋秀昭さんも同じく同級生の役です。彼にはその他にもいくつかの役を担当してもらっています。「同級生3」「同級生4」「同級生5」「女1」というのも……フットワークが軽い方なので、この舞台の進行を一手に担ってもらっています(笑)。

 

― 最後にみなさんに一言

暑苦しい男3人でやっていますが(笑)、あと味の良い作品に仕上がってきていると思います。皆さん、ぜひ劇場にお越しください。

編集|壁ノ花団制作部
 

壁ノ花団『ザサン』 公演直前!

★スペシャル企画1  【期間限定】『ニューヘアスタイルイズグッド』動画配信 *終了しました。
★スペシャル企画2  水沼 健 インタビュー
★スペシャル企画3  出演者 動画コメント (岡嶋秀昭×坂口修一)


壁ノ花団第八回公演 『ザサン』
 

作・演出|水沼 健  出演|金替康博 岡嶋秀昭 坂口修一

 2013年9月12日(木)−15日(日)
元・立誠小学校 講堂

詳細はコチラのページから
チケット予約はコチラのページから

みなさんのご来場をお待ちしております!!

▲ページトップに戻る


Copyright (c) 2007-2013 Cucumber Co., Ltd. All rights reserved